新知恩院

応仁元年（1467年）に戦乱（のちの応仁・文明の乱）が起こると、京都東山の浄土宗総本山・知恩院は戦火で被害を受けた。さらなる被害を防ぐため、知恩院22世・周誉珠琳は焼け残った仏像、経典、古文書類を知恩院に隣接する青蓮院門跡の所領があった近江国滋賀郡伊香立村（現・滋賀県大津市伊香立）に避難させた。その際に周誉は自ら法然上人立像を背負って避難している。
寺宝とともに周誉らはいったん金蓮寺（現・大津市伊香立上在地町）に入ったが、のち現在地に寺宝を納めるために新寺院が建てられた。この寺院は新知恩院と名付けられ、山号と寺号は知恩院の正式名「華頂山知恩教院大谷寺」のうち山号と寺号を逆にしたものがつけられた。新知恩院が創建されると周誉は青蓮院門跡尊応から寺家敷地等を安堵されている。
文明10年（1478年）、周誉は知恩院を再興し、新知恩院に避難させていた物品のほとんどを知恩院に戻した。法然上人立像のみは新知恩院に残された。
江戸時代、北にある八所神社を鎮守社と指定し、寺領は50石（その内10石は八所神社の分）があった。
はじめ、本尊は阿弥陀如来立像であったが、途中から鏡乃御影（法然上人の姿をそのまま映したものとされる法然上人立像）に交代された。