高家寺

1639年（寛永16年）、戸田松平光重が播磨明石より美濃加納に転封となり、これに従って住台寺の住職であった祐加上人も美濃へ来た。祐加上人は松平光重の妹である二之丸殿の発願に従って高家寺を開創した。寺伝では、戸田家が公家である正親町三条家の支流であるために「高家」という寺号を名乗ったとされる。
江戸初期には、中山道の地図において本堂・観音堂・摩利支天鎮守堂の挿し絵で存在が確認される。しかし、加納藩主安藤信成の時に御家騒動が起こり、安藤家は陸奥磐城平藩に減転封された。代わりに永井氏が藩主となるが、永井氏転封（1756年）以降の記録が何らかの理由で散逸した。ただ、灯籠が何本も現存することから荒寺・廃寺となったわけではないことが確認される。
明治期になり、岐阜駅をつくる際に岐阜駅前へ移転させられることとなった。昭和初期の寺領は425坪程度であったが、太平洋戦争の戦火により全焼した。仮堂を再建したが、岐阜駅前の開発に伴い岐阜市鷺山に仮移設した。その後、平成5年（1993年）に現在地に移転した。現在は約六百坪の敷地に本堂（護摩堂・大師堂を含む）・山門・渡り廊下・庫裏・水館・水掛不動明王・子安地蔵堂などが建てられている。
このほかに、平成元年（1989年）に飛騨古川で発掘によって確認された岐阜県最古の寺院が、判明していた「たきへでら」の名称に「高家寺」の字をあてることが判明した。この寺は飛鳥時代に創建されたと考えられており、現在の高家寺はこの寺を継ぐ寺と称している。