宇治神社

【宇治神社由緒】
内宮の門前町・宇治の四ヶ町(館・今在家・中之切・浦田)の鎮守。明治41年(1908)中之切町に鎮座していた宇治山田神社に四ヶ町で祀られていた神社及び旧内宮所管社の御祭神を合祀、同43年(1910)今在家町の現社地に遷座した。御祭神は大山祇神で、その創祀については皇大神宮末社の那自賣神社(現在は摂社・宇治山田神社と御同座)の旧地であるという説と、万治3年(1660)宇治洪水の際に神路山にあった小祠が流れ着いたのでここに祀ったという説がある。明細帳には「創立詳らかならずといえども、寛文年間(1661～72)の宇治の古図に目今の社地を記して一里塚と山神社とを載せたれば、是より以前の勧請なる事知るべし」とある。古くは岡田の山神と呼ばれていた。明治16年(1883)不動明王院の鎮守であった弓場天神を境内に祀り、弓の事始式が再興された。明治41年(1908)3月、以下の神々が合祀された。館町の求神社(御裳須曽姫神)、足神神社(宇麻志阿斯訶備比古遅神)、水神神社(速秋津日子神・速秋津比女神)、今在家町の鏡石神社(新川比賣神)及び境内社の石津賀神社(神名不詳)、山神神社(大山祇神)、稲荷神社(宇迦之御魂神)及び境内社の佐野姫稲荷神社(同上)、水神社(水波賣神)、中之切町の蘭神社(素戔嗚尊)、浦田町の八幡神社(応神天皇)、稲荷神社(宇迦之御魂神)、秋葉神社(火産霊神)、瀧倉神社(玉移良比賣神)及び境内社の大山祇神社(大山祇神)、崇忠神社(菅原道真・和気清麿・楠正成・大職冠鎌足の各神霊・天兒屋根命)。また崇忠神社の境内社・玉鉾神社に祀られていた、羽倉東麿、岡部真淵、本居宣長、平田篤胤の各神霊も同時に合祀された。同年7月には館町に鎮座していた荒木田一門氏神社(内宮禰宜を務めた荒木田氏の氏神社で、その祖神・天見通命と連歌師で俳諧の祖と称される荒木田守武を祀る)を合祀した。明治43年(1910)合祀社の稲荷神社があった今在家町の現社地に遷座。さらに同45年(1912)境内社の弓場菅原社を合祀。
【足神神社由緒】
『神宮略典』によると本社は、皇大神宮末社に葦立弖社(アシタテシャ)に擬し、一説には宝暦年間(1751～64年)磯部街道笹原茶屋の亭主が、老狐が足を傷して治療に手を尽くしたが、その効無く悶死したが、亭主はこれを厚く葬り山神に祖霊と祀り崇敬したといわれる。以来足の疲労平癒を祈れば、亭主に報いるため、必ず老狐の加護ありといわれる。ご祭神の生命力を司る宇麻志阿斯訶備比古遅神の阿斯を足に読み替えたことから足神と呼ばれるようになったとも推察される。
【蓬莱稲荷神社由緒】
元来は今在家町丸山、現在の五十鈴川郵便局と藤屋窓月堂との路地にあった神社が天明２年(1782年)修築時に移されたもの。内宮権禰宜で副物忌父職を兼帯したことから、蓬莱家の社であったと思われる。